系統用蓄電池を活用した新たなビジネスモデルの出現
(第一回)

株式会社Beyond Next Energy代表取締役の山口浩一です。

系統用蓄電池を活用したビジネスモデルとして、今後日本で増えてくる可能性があるのビジネスモデルについてご紹介したいと思います。(2回シリーズ)
第一回目の今回は、小売電気事業者等向けのトーリング(Tolling)モデルです。

トーリング(Tolling)

実はエネルギー業界においてトーリング(Tolling)は古くから存在する契約形態です。日本ではあまり一般的ではありませんが、海外においては、発電設備などの設備を活用したトーリング(Tolling)が行われてきました。具体的には、例えばA社(天然ガス等の燃料供給事業者)がB社(発電設備を保有する発電事業者)とトーリング契約を結び、B社の発電所でA社が調達した天然ガス等を燃料として発電を行う。発電された電力はA社のものとなり、A社が市場で販売。B社は発電サービスの対価(トーリングフィー)を受け取る、といった仕組みです。
この取引のメリットとしては、燃料供給事業者(A社)は、発電所を持たずに発電が可能になり、市場等に電力販売を行う収益を上げることができます。発電事業者(B社)は、燃料価格リスクを負わずに発電所の稼働率を高め、安定収益を得られます。

 これと同じように、系統用蓄電池を開発して蓄電設備を保有する蓄電池設備保有事業者(アセットオーナー)が、小売電気事業者やトレーディング会社などのオフテイカーに対して蓄電池の中長期的な使用権を与えるという形態が出現し始めています。小売電気事業者やトレーディング会社などのオフテイカーは、蓄電池の使用料金(トーリングフィー)を賃料のような形で支払い続けることで、一定の条件(蓄電池の劣化が早まるような充放電の制限等)の下で、自己の裁量で充電及び放電(売電)する権利を取得し、各種市場(卸電力市場、容量市場、需給調整市場)からの収益を得ることが可能となります。一方、蓄電池設備保有事業者は、長期間にわたってトーリングフィーを受け取ることで、市場価格変動リスクを回避しつつ、安定収入を得ることをでき、外部資金のファイナンスを受けることができます。蓄電池設備保有者が蓄電池設備の保守・メンテナンスを行い、蓄電池の性能を一定レベル以上に保つ責任を持つことになります。

 米国のテキサスやカリフォルニアでは、蓄電池のトーリング(Tolling)の事例が数多くありますが、日本ではまだ事例はほとんどなく、これまでに発表された事例としては、日本蓄電株式会社と東京ガス株式会社の事例があります。具体的には、日本蓄電(英国のEku Energyの日本法人)が九州で開発する「広原蓄電所」に関し、東京ガスが20年間の運用権を取得する「オフテイク契約」を結んでいます(今回の契約は「トーリング契約」ではなく、「オフテイク契約」として位置づけられている)。この契約により、東京ガスは広原蓄電所の全出力を20年間にわたり運用し、電力市場への販売を行うことができます。一方、日本蓄電は蓄電所の開発・建設・管理運営を担当し、東京ガスに対して運用権を提供する形となっています。
トーリングフィーは、固定費用(例えばkWあまり○○万円)という形を取り、マンションの賃料のように毎月支払うのが基本となるが、固定費用を安くする一方で、オフテイカーが市場であげる利益をシェアするプロフィットシェアリングを組み合わせるという形態もありえます。

弊社では、蓄電池事業に関するコンサルティングや規制・制度動向調査等を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

以 上

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