株式会社Beyond Next Energy副社長 COOの上野徹です。
日本卸電力取引所(JEPX)において、2025年度最後となるFIT非化石証書オークション(第4回)の取引結果が公表され、2025年度の取引実績が出揃いました。
FIT非化石証書市場については、価格が長期間にわたり低位で推移している一方、入札データを分析すると、需給構造には徐々に変化の兆しも見え始めています。
2025年度までのオークション結果を振り返るとともに、需要家の再エネ調達を取り巻く国際的な制度動向や、その影響について見ていきたいと思います。
1. 2025年度オークション結果総括
2025年度のFIT非化石証書市場の約定量は約730億kWhとなり、前年度の約600億kWhから増加しました。
一方、約定価格は2024年度第4回オークションで0.7円/kWhまで上昇したものの、2025年度は再び0.4円/kWh水準に戻っており、市場全体として大きな価格変動は見られません。
(図1:FIT非化石証書市場の売り入札量・約定量・約定価格推移)

2. 需要は着実に増加している
約定量は入札回ごとの変動はあるものの、中長期的には増加傾向が続いています。
一方、売り入札量は依然として約定量を大きく上回っており、供給超過の状態に大きな変化は見られません。
ただし、足元のトレンドが継続すると仮定した場合、需給ギャップは徐々に縮小していくことが示唆されます。
需給均衡へ向けた動きが見られ、こうした需給構造の変化は将来的な証書価格にも影響を与えると考えられます。
(図2:FIT非化石証書市場の需給構造分析)

3. 企業の再エネ調達ルールは変化しつつある
需要増加の背景として、企業の再エネ調達を取り巻く国際ルールの変化も考えられます。
2026年6月に公表されたSBTi(Science Based Targets initiative:科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標の国際イニシアティブ)のコーポレートネットゼロ基準V2.0では、大規模需要家に対する電力調達に関する新たな開示要件が導入されました。
また、温室効果ガス排出量算定の国際基準であるGHG Protocol(特にScope 2(電力使用に伴う間接排出)の改定)についても見直し議論が進められています。
こうした動きに対し、日本政府も議論への参画を進めており、経済産業省は日本の脱炭素電源投資への影響などについて意見を提出しています。
企業の再エネ調達ルールは今後数年で変化する可能性があり、FIT非化石証書市場もその影響を受ける可能性があります。
4. 結論
2025年度のFIT非化石証書市場は、引き続き供給超過の状態にあり、価格も0.4円/kWh近辺で推移しました。
一方、約定量は増加傾向が続いており、需給構造には変化の兆しも見られます。
また、GHG ProtocolやSBTiをはじめとする国際ルールの見直しも進められており、企業の再エネ調達を取り巻く環境は変化しつつあります。
FIT非化石証書市場の今後を考える上では、価格動向だけでなく、需要側の動向にも注目されます。
弊社では、市場参加者の中長期的な意思決定を支援するため、FIT非化石証書価格および電力市場価格について、2050年までの長期価格見通しレポートを販売しております。
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